『成績が良いからってそれがどうしたの? どうしてみんな俺のこと、そういう目でしか見てくれないの?』


認めてくれる人がいるだけいいじゃないかと思った。

平凡で普通の私なんて、誰も見てはくれないのだから。

彼方とは違って、頭もそこまでよくなくて、運動もそこまで得意ってわけじゃない私のことなんて……誰も、気にもとめてくれない。


みんなみんな、見ているのは私の幼馴染みの彼方ばかり。

私の隣にいる彼方ばかり。


だがある日、彼方は全てを諦めて一人になった。彼方のことを気にとめる人はいなくなった。


嬉しかった。凄く嬉しかった。



だって彼方にはもう、

私しかいない。