「……ううん、やっぱなんでもない」


遊園地を一歩出ると、急に辺りがガランと静かになる。


……楽しかった夢から覚めてしまったような、そんな感覚。


空なんてもう薄暗くて、しかもちょっと肌寒い。


「あ、そういえばさ、もうすぐだね!」


寂しくなった気持ちを誤魔化そうと、突拍子もなく彼方に話を振ってみる。


「……何が?」

「ほら彼方、明日にはクラスでなにをするか決めるって先生言ってたじゃん!」


ここまで言っても、彼方はまだピンときてない様子だ。


「本当に忘れちゃったの?」


そこでふと、思い出す。

そういえば私と彼方って確か……



「もうすぐでしょ、文化祭!」



文化祭実行委員、だ。