「……だ、けどっ、でも!」
「鬼龍院くん」
真っ直ぐと私は鬼龍院くんを見つめる。
すると鬼龍院くんはオドオドしたように視線を泳がせ、困ったような表情をする。
「鬼龍院くん、私はね、これでも鬼龍院くんのこと褒め足りないんだよ」
「……っ」
顔を真っ赤にして悔しそうにしながら、鬼龍院くんは下唇を噛んで震えていた。
「だから続けるね、えーっと……」
「っ!? わ、分かった! 分かったからもう止めたまえ近衛クン!!」
半分ヤケになりながら、鬼龍院くんは声を荒げた。
「分かった、もう分かった……から……僕にはもう、十分だからっ」
ふぅと息をはき、真っ赤な顔のまま一言。
「…………僕の、負けだ」



