【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。




グッと拳を握り、思わず前のめりになってしまう。


「それにさ、鬼龍院くんって『相手を認めることのできる』凄い人なんだよ!」

「相手を認める……?」

「ほら、努力とか才能とか、自分が負けても鬼龍院くんはぐちぐち言わないで、ちゃんとそれを認めてきた」

「……だが」

「人を認めることって、そうできることじゃないよ。私なんていつも自分のことばっかだし……鬼龍院くんのこと、心から尊敬してるから」

「近衛……クンっ」


私の名前を呟いた後、まるで泣くのを我慢するようにキュッと口を結ぶ。


「なにしてんだお前ら? 鬼龍院を褒める会かなんかか??」


ふと、クラスの男の子が一人、私たちに話しかけてきた。

「うん、鬼龍院くんをべた褒めしてる」と返事を返すと、その男の子は少し考えた後……


「そういえば、この前は俺のこと庇ってくれてありがとな」


言うと、近くにあった椅子にそのまま座った。