「彼方、私、鬼龍院くんのこと放っておけない」

「……俺がいるのに、他の男によそ見?」

「っ!? ちが、そういうわけじゃ……!」

「ごめん……ちょっと、からかった」

「からかっ……もう!」

「ごめんって……で、放っておけないって……どうするの?」

「それは……これから、考える」


ただのお節介。

でも、このままでいいわけがない。


だって鬼龍院くんが苦しそうだったから。

鬼龍院くんが辛そうだったから。


「んーと……んー……なにをすれば……んー……」


鬼龍院くんは一番にこだわっている。

テスト成績一位という一番に異様にこだわっている。


鬼龍院くんはそれだけじゃないのに。

鬼龍院くんは、もっとたくさん良いところがあるのに。


本人だけが気付いてない。

気付いてないなら、



「…………気付かせれば、いいんだ」