「……ねぇ、柚月」

「なに?」

「ありがとう」

「……ふへ??」


帰り道、突然の感謝の言葉。

見に覚えのない感謝に、私はなにか『ありがとう』と言われるようなことをしたっけと頭をひねる。


「いろいろと……柚月がいなかったら、俺はきっと一人だったから。きっと、まだ諦めたままだったから」

「彼方……っ」

「ありがとう」


改めて感謝を伝えられると、胸の奥がキュウウッてなった。

嬉しくて、嬉しくて、こんな私でも誰かを助けることができるんだと、信じることができる。


だから鬼龍院くんもと思うのは、少し欲張りだろうか。