「だが一色クン、本当によかったのかね? これでは勉学の時間が減るだろう?」
パチン、パチンと、ホッチキスの音が何度も響く。
そんな音の中、ふいに鬼龍院くんは彼方に話しかけた。
どうやら鬼龍院くんはまだ、彼方が特殊な勉強方を行っていると勘違いしているようだ。
「……家でも、そんなに勉強はしない」
「またそんなデタラメを言う! そんなにこの僕に勉強方を教えたくないのかね?」
「……本当に、特別なことなんてしてないから」
「そうだよ鬼龍院くん! 私だって、彼方が熱心に勉強してるとこなんて見たことないし……」
「…………勉強してないのに、あの点数がとれたと?」
ポツリと呟くように言った鬼龍院くんの声は、いつもよりも低く、少し怒ったような言い方だ。
鬼龍院くん、なんだか雰囲気が変わったような……?



