「……ありがと、ちょっと落ち着いた」
「う、うん」
彼方が離れても、くっついていた頬のぬくもりがまだ残っていて、そこからじわじわと熱が広がっていくようだ。
「また明日ね、柚月。朝、迎えにいくから」
「ん、また明日ね」
そして次の日、案の定、彼方はまた鬼龍院くんに付きまとわれていた。
次の日も、またその次の日も、鬼龍院くんとの日々は続き……
「……くっ、今日も一緒に帰りたいのだが、実は生徒会の仕事がたまっていてな。残念だが二人で帰ってくれ」
鬼龍院くんと一緒に過ごしだして数日たったある日、
今日も帰りは一緒に帰るのかなと思っていたら、とても残念そうに鬼龍院くんは机の上に積み重なっている紙束を眺めた。
「す、凄い紙の量だね……」
「明日の会議の全資料だ。できれば今日中に全てをまとめておきたい」
「今からこれを全部ってこと!? 鬼龍院くん、一人で!?」



