「うわぁ、玉子焼きも美味しそう……」
「ふむ、ではそのハムサンドと玉子焼き……だけでは釣り合いがとれんな。どれでも好きなものを選べばいい。交換しないか?」
「え、いいの!?」
きっとこのお弁当って、普通に買ったら物凄く高いよね……。
「しゃあ、玉子焼きと……どうしよう、本当にいいの?」
「ああ、どれでも好きなのを──」
「ダメ」
鬼龍院くんの声を遮ったのは紛れもなく彼方で、その声はとても不機嫌そうで……
「ハムサンドなら俺のあげる。柚月のは、ダメ」
それが彼方のちょっとしたヤキモチなのだと、今の私にはハッキリ分かる。
ヤキモチやかれるって、なんだかむずむずするな……。



