「なんだ、君たち昼はパンだけなのかい? もっと食事のバランスに気を付けるべきだと思うが……だが近衛クン、そのハムサンドは美味しそうだな」


お昼になって、鬼龍院くんは宣言通り彼方に張り付く……と言うか、出来る限り彼方を見張っていると言った方が正しいか。

私と彼方、そして鬼龍院くんの机をくっつけてのランチタイムとなっていた。


……不思議な光景だな。


でもこの鬼龍院くんの威圧的な雰囲気のおかげで、彼方の周りに女の子たちが集まらなくなったのは……少し、ありがたかったり。


「このハムサンド、売店のなんだけど、凄く美味しいんだよ」


私のハムサンドに少し興味を持ってくれた鬼龍院くんは「売店か……今度言ってみるか」と呟いた。


「鬼龍院くんのお弁当は、凄くバランスとれてそうだね」

「ああ、うちのシェフにバランスよく作ってもらっているからな。今日は和風のようだ」


さすがお金持ち、さらっと『うちのシェフ』という言葉が出てこようとは……。