*
翌日、ディルクは朝から出かけて行った。
一体パウラとどんな会話をするのか、心配でローゼは仕事に全く身がはいらない。
「ダメよ、ローゼ。一緒に歩くときに一歩でも奥様の前には出ないで」
「あ、すみません」
「今日はどうしたの? ボーっとしているのね」
本日はエミーリアの部屋で礼儀作法の勉強中だ。貴族の一般的な礼儀作法に加え、舞踏会に出た場合の作法もある。これはエミーリアも苦手分野なのであまりやる気がないらしく、思い立ったように言い出した。
「調子が出ない日くらいあるわよ。ねぇ、今日くらい少し遊びましょうよ」
そして、クローゼットから白とピンクのプリンセスラインのドレスを取り出す。
「私、一度あなたで着せ替えをしてみたかったのよね。絶対ローゼは着飾ったら綺麗になると思うの。メラニー、これをローゼに着せてみて?」
その発言に目を剥いたのはローゼだ。
「ダメです! そんな恐れ多い。私奥様の服なんて着れません」
「私がいいって言ってるんだからいいのよ」
「そんな……、でも……」
ローゼは助けを求めてメラニーを見る。エミーリアの突飛な申し出には慣れているメラニーも、半泣きになったローゼを見て苦笑した。
「……エミーリア様、あんまり無理には……」
翌日、ディルクは朝から出かけて行った。
一体パウラとどんな会話をするのか、心配でローゼは仕事に全く身がはいらない。
「ダメよ、ローゼ。一緒に歩くときに一歩でも奥様の前には出ないで」
「あ、すみません」
「今日はどうしたの? ボーっとしているのね」
本日はエミーリアの部屋で礼儀作法の勉強中だ。貴族の一般的な礼儀作法に加え、舞踏会に出た場合の作法もある。これはエミーリアも苦手分野なのであまりやる気がないらしく、思い立ったように言い出した。
「調子が出ない日くらいあるわよ。ねぇ、今日くらい少し遊びましょうよ」
そして、クローゼットから白とピンクのプリンセスラインのドレスを取り出す。
「私、一度あなたで着せ替えをしてみたかったのよね。絶対ローゼは着飾ったら綺麗になると思うの。メラニー、これをローゼに着せてみて?」
その発言に目を剥いたのはローゼだ。
「ダメです! そんな恐れ多い。私奥様の服なんて着れません」
「私がいいって言ってるんだからいいのよ」
「そんな……、でも……」
ローゼは助けを求めてメラニーを見る。エミーリアの突飛な申し出には慣れているメラニーも、半泣きになったローゼを見て苦笑した。
「……エミーリア様、あんまり無理には……」



