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翌日、ローゼは使用人が集められた席で、ナターリエより「エミーリア様の侍女になるようお達しがありました。今日より彼女の指導権はエミーリア様とメラニーに移るので、他の人たちも彼女に仕事を回さないように」と言われ、他の使用人仲間からは羨望のまなざしで見つめられる。
容姿の良さは、身分が低ければ嫉妬の対象にしかならない。普段から仲良くしてくれているジルケはそうでもないが、「ほら、やっぱりあの子見た目がいいから……」などという陰口も微かに聞こえてくる。
ローゼはいたたまれなくなって俯いて、ナターリエの「では皆さん、自分の仕事に戻ってください」という声を聞いていた。
「では、私についてきてくださいね」
優しく笑いかけてくれたのは、エミーリアの侍女であるメラニーだ。
「エミーリア様の一日は起床、朝食、家の中の雑事、午後は社交や乗馬、夕食、就寝といった感じね。もちろん、フリード様とともにお出かけなさるときもあるし、日によって随分違うのだけど。私たちはそのこまごましたことをお手伝いする立場です」
「はい!」
メラニーはエミーリアと同じ十九歳だ。ローゼより二歳年上になる。しかし、マロンブラウンの髪を結い上げ、清潔そうな青いドレスを着た彼女は落ち着きがあり、ローゼはもっと年上のように感じてしまって恐縮してしまう。
メラニーはローゼのメイド服を見て、困ったように頬に手を当てた。
翌日、ローゼは使用人が集められた席で、ナターリエより「エミーリア様の侍女になるようお達しがありました。今日より彼女の指導権はエミーリア様とメラニーに移るので、他の人たちも彼女に仕事を回さないように」と言われ、他の使用人仲間からは羨望のまなざしで見つめられる。
容姿の良さは、身分が低ければ嫉妬の対象にしかならない。普段から仲良くしてくれているジルケはそうでもないが、「ほら、やっぱりあの子見た目がいいから……」などという陰口も微かに聞こえてくる。
ローゼはいたたまれなくなって俯いて、ナターリエの「では皆さん、自分の仕事に戻ってください」という声を聞いていた。
「では、私についてきてくださいね」
優しく笑いかけてくれたのは、エミーリアの侍女であるメラニーだ。
「エミーリア様の一日は起床、朝食、家の中の雑事、午後は社交や乗馬、夕食、就寝といった感じね。もちろん、フリード様とともにお出かけなさるときもあるし、日によって随分違うのだけど。私たちはそのこまごましたことをお手伝いする立場です」
「はい!」
メラニーはエミーリアと同じ十九歳だ。ローゼより二歳年上になる。しかし、マロンブラウンの髪を結い上げ、清潔そうな青いドレスを着た彼女は落ち着きがあり、ローゼはもっと年上のように感じてしまって恐縮してしまう。
メラニーはローゼのメイド服を見て、困ったように頬に手を当てた。



