マドンナリリーの花言葉


「……余計なことを言ったな。とにかく君を屋敷でじろじろ見てしまったのは、パウラ夫人と関係があるんじゃないかと勘ぐってしまったんだ。さっき言ったことは忘れてくれ。君にはなんにも関係ないことだ」

「関係なくはありません。私、ディルク様が好きです。好きな人が苦しんでいるのを放っておきたくありません」


とはいえ何ができるわけでもない。
まして、ディルクがパウラを憎んでいるのだとしたら、見たくもない顔に違いない。


(……でも、墓場での二人は親密そうに見えた。恋人同士だと言ってもおかしくないほどに)


「それに、……納得ができないんです。憎んでいるといいつつ、ディルク様はパウラ様と仲良さそうだったじゃありませんか」

「なんだ妬いているのか?」


さらりと返され、ローゼは再び真っ赤になる。けれど、もう告白だってしたし、ローゼが怯えることは何もないのだ。気を取り直して、真っ赤な顔を彼に近づける。


「そうです。やきもちを焼く資格がなくても、恋する乙女というものは妬くものなんです」


言い返されると思っていなかったのか、ディルクは目をむいて彼女を凝視する。見る見るうちにディルクの耳のあたりが赤くなる。