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アンドロシュ子爵の屋敷は、広大な敷地の中にある。
昔からある本邸と回廊づたいに行ける小さな別館。それと、庭園を挟んだ向かいにある大きな別邸ですべてだ。大きな別邸のほうにはエーリヒの一家が住んでいて、使用人も多くはそちらにいる。
本館にいるのは、当主である子爵と身の回りのことをするメイド、用心棒と従僕を兼ねたような男が三人。それと小別館にパウラとゾフィーと数名のメイドたちくらいだ。
敷地の入り口となる門は二か所につくられており、別邸のエーリヒは本邸とは行き来のない生活をしている。
小別館は、広間と食堂と二部屋の寝室で構成されていた。いかにも客用といった感じのつくりだが、見るものをぎょっとさせるのは、まるでドールハウスをそのまま大きくしたような少女趣味な外観と内装のせいである。
パウラは、十五歳で嫁入りしてからずっと、ここに住んでいる。与えられる洋服はレースがふんだんに使われた華やかなドレス。靴も、髪飾りも一級品。コーディネートさえも子爵が決め、自らの気分で違う服を着ていると怒られた。
アンドロシュ子爵がパウラに望んでいたことは、人形のように無表情で退屈であれということだった。
アンドロシュ子爵は男女の営みには興味がないらしく、パウラは彼に性的な意味で触れられたことはない。しかし、服の着せかえは彼のお気に入りの遊びだったし、家族ごっこもまたそうだ。
少女だったパウラは、子爵からその要求が決して嫌ではなかった。ドレスは可愛らしく上物だったし。彼はいやらしいことをしてこない。
だからこそ、子供ができたと分かったときは、青ざめた。
アンドロシュ子爵の屋敷は、広大な敷地の中にある。
昔からある本邸と回廊づたいに行ける小さな別館。それと、庭園を挟んだ向かいにある大きな別邸ですべてだ。大きな別邸のほうにはエーリヒの一家が住んでいて、使用人も多くはそちらにいる。
本館にいるのは、当主である子爵と身の回りのことをするメイド、用心棒と従僕を兼ねたような男が三人。それと小別館にパウラとゾフィーと数名のメイドたちくらいだ。
敷地の入り口となる門は二か所につくられており、別邸のエーリヒは本邸とは行き来のない生活をしている。
小別館は、広間と食堂と二部屋の寝室で構成されていた。いかにも客用といった感じのつくりだが、見るものをぎょっとさせるのは、まるでドールハウスをそのまま大きくしたような少女趣味な外観と内装のせいである。
パウラは、十五歳で嫁入りしてからずっと、ここに住んでいる。与えられる洋服はレースがふんだんに使われた華やかなドレス。靴も、髪飾りも一級品。コーディネートさえも子爵が決め、自らの気分で違う服を着ていると怒られた。
アンドロシュ子爵がパウラに望んでいたことは、人形のように無表情で退屈であれということだった。
アンドロシュ子爵は男女の営みには興味がないらしく、パウラは彼に性的な意味で触れられたことはない。しかし、服の着せかえは彼のお気に入りの遊びだったし、家族ごっこもまたそうだ。
少女だったパウラは、子爵からその要求が決して嫌ではなかった。ドレスは可愛らしく上物だったし。彼はいやらしいことをしてこない。
だからこそ、子供ができたと分かったときは、青ざめた。



