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ほどなくして、客間に着替えが届けられた。華やかなドレスではないが、ブルーの細かなストライプが入ったワンピースだ。シンプルだが生地は上物のようで、こんなに服を着られる身分じゃないのに、とローゼはやはり気が引けてしまう。
しかし、エミーリアに急き立てられ、仕方なしといった体で着替えた。
ほつれた髪を下ろし、再び結い上げる気持ちにはなれず、サイドで緩くひとつに結んだ。
やがてノックの音がする。
「いいわ、私が出る」
ローゼが動く前にエミーリアが扉に向かい、向こうの人物と二言三言話すと、続き間のほうへ行ってしまった。
交代するように入って来たのは、ディルクだ。
彼も今日は疲れたのだろう。服装は乱れなく整っているが、髪が少し乱れていた。
「ローゼ、話がある」
「話……ですか?」
神妙な顔だ。何を言われるか、という不安よりも、彼が緊張していることが気になる。
「君の出生に関することだ。ショックを受けるかもしれない。……だが、君を守るためにもうこれ以上放置できないんだ」
ローゼは息を飲み、吐き出すように視線をそらして言う。
「……では、私は本当にパウラ夫人の娘なんですか?」
ローゼは、自分がそれほどショックを受けていないことを意外に思った。頭の片隅では理解していたのかもしれない。自分でも驚くほど似ているのだ。それに比べ、両親とはまったく似ていない。
ほどなくして、客間に着替えが届けられた。華やかなドレスではないが、ブルーの細かなストライプが入ったワンピースだ。シンプルだが生地は上物のようで、こんなに服を着られる身分じゃないのに、とローゼはやはり気が引けてしまう。
しかし、エミーリアに急き立てられ、仕方なしといった体で着替えた。
ほつれた髪を下ろし、再び結い上げる気持ちにはなれず、サイドで緩くひとつに結んだ。
やがてノックの音がする。
「いいわ、私が出る」
ローゼが動く前にエミーリアが扉に向かい、向こうの人物と二言三言話すと、続き間のほうへ行ってしまった。
交代するように入って来たのは、ディルクだ。
彼も今日は疲れたのだろう。服装は乱れなく整っているが、髪が少し乱れていた。
「ローゼ、話がある」
「話……ですか?」
神妙な顔だ。何を言われるか、という不安よりも、彼が緊張していることが気になる。
「君の出生に関することだ。ショックを受けるかもしれない。……だが、君を守るためにもうこれ以上放置できないんだ」
ローゼは息を飲み、吐き出すように視線をそらして言う。
「……では、私は本当にパウラ夫人の娘なんですか?」
ローゼは、自分がそれほどショックを受けていないことを意外に思った。頭の片隅では理解していたのかもしれない。自分でも驚くほど似ているのだ。それに比べ、両親とはまったく似ていない。



