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中央領にある王宮からほど近くにある、東の宮。ここは第二王子クラウス=ファーレンハイトの屋敷である。本日の夜会はクラウスが個人的に開催したもので、付き合いのある貴族子息や令嬢へのみ招待状を出したものだ。
しかしながら、クラウスが考えているより多くの人間が入り込んでいる。その人数に見合う料理が用意されているところを見ると、屋敷の者は事前に人数を把握していたのだろう。
「実は、国王様より指示があり、世襲貴族や王家に出入りする貴族たちのご令嬢にも招待状を送っております」と当日になって言いだしたのは執事だ。
二十三歳にもなるのにまだ妻を娶らない第二王子を心配する気持ちは分かるが、おせっかい極まりない王の行動にクラウスは舌打ちする。
「クラウス様、本日はお招きありがとうございます」
クラウスを見つけ、わざわざ駆けつけてくる招いた覚えのない令嬢と、なぜか娘を送って来て帰ろうとしない壮年の貴族の多いことと言ったら。
「これは美しいお嬢さんだ。お父上に似なくて幸運でしたね」
クラウスは呆れ半分で、あえて愛想よく相手をした。
いっそ虜にしてから捨ててやろうか、などど物騒なことさえ考えながら。
アーレンス侯爵子息、ベッカー公爵、フリューア子爵、アンドロシュ子爵子息。父親は、どれも王宮でよく見る壮年貴族だ。
中央領にある王宮からほど近くにある、東の宮。ここは第二王子クラウス=ファーレンハイトの屋敷である。本日の夜会はクラウスが個人的に開催したもので、付き合いのある貴族子息や令嬢へのみ招待状を出したものだ。
しかしながら、クラウスが考えているより多くの人間が入り込んでいる。その人数に見合う料理が用意されているところを見ると、屋敷の者は事前に人数を把握していたのだろう。
「実は、国王様より指示があり、世襲貴族や王家に出入りする貴族たちのご令嬢にも招待状を送っております」と当日になって言いだしたのは執事だ。
二十三歳にもなるのにまだ妻を娶らない第二王子を心配する気持ちは分かるが、おせっかい極まりない王の行動にクラウスは舌打ちする。
「クラウス様、本日はお招きありがとうございます」
クラウスを見つけ、わざわざ駆けつけてくる招いた覚えのない令嬢と、なぜか娘を送って来て帰ろうとしない壮年の貴族の多いことと言ったら。
「これは美しいお嬢さんだ。お父上に似なくて幸運でしたね」
クラウスは呆れ半分で、あえて愛想よく相手をした。
いっそ虜にしてから捨ててやろうか、などど物騒なことさえ考えながら。
アーレンス侯爵子息、ベッカー公爵、フリューア子爵、アンドロシュ子爵子息。父親は、どれも王宮でよく見る壮年貴族だ。



