「いやお前めっちゃ笑うやん! これっぽっちもさみしいとか思てへんやろ⁈」

「え〜思ってるって」



〝さみしい〟はただ悲しい感情だけやない。

そんなこと、うちは今まで想像したこともなかった。

ほんま、ずるい。上牧はうちに色んなもんをくれる。



「そんなことよりあんた、後悔しんときや? こんなん言うて、うちを調子に乗せたんやから責任取ってや」

「お? おお、ようわからんけど乗っとけ乗っとけ!」



あーあ、なんも考えんとそんなこと言って!

知らんで、うちは今聞いてもたからな。



「なぁ、もうすぐ夏休みやな」

「せやな」

「休み入ったらさ、模試があるやん」

「お前……わざわざ嫌なことを……」



顔をしかめてブッサイクな上牧に向かってひとつの提案を投げかける。



「その模試の点数、また競おうや」



今度は受験生の本気を見せる時。

部活を引退する人がぼろぼろ出はじめて、今までよりずっと勉強せんと結果が出ないはず。

そんな時でも、競おう。



「そんで、うちが勝ったら今度はサイダーやなくてさ、お願い聞いて」

「え、お願いってなんかめっちゃこわいんやけど。なんなん?」

「話あるねん。それ、聞いて欲しい」



不審そうにしながらも、なんだかんだ言うて上牧はこくりと頷いた。

ちょろいやつめとうちは吐息で笑った。