久世彩羽(くぜ さいは)



高校1年、15歳。




母子家庭、母ひとり子ひとりで今まで頑張ってきたのに、どうやらそれも一時休戦と言ったところでしょうか。





私は今日から1人、日本に残されるそうです。





しかもこのメモの内容からしてこの住み慣れたアパートではないらしい。





「33階って…まさかあの駅前のタワーマンション……?」





「そうそう!そこの最上階にお母さんの知り合いが住んでてね、1人暮らしなのにあんな広いとこ借りてるもんだから部屋も余ってるんだって。だからそこでしばらくお世話になってね」




「そ、そんな!いきなり知らない人と同居なんて言われても困るよ!?」




「えー?でも年頃の女の子をこんなセキュリティも整ってないところに1人ぼっちになんて心配でできないし…ってもうこんな時間!」




「ちょ、ちょっとお母さん!!まだ話は終わって…」




「だから始業式終わったら荷物持ってそのメモに書いてあるところにちゃんと行くのよ?
ここはお母さん帰ってくるまで電気もガスも水道も止めちゃうから隠れてここに住もうって言ったって無駄だからね?

じゃ、いってきまーす!」








ばたん、と無情にもしまるドア。




1人取り残された私はメモを片手に立ち尽くすしかなくて。





「お母さんの、馬鹿」





はぁ、と大きなため息を一つ吐き出すも、心は重たいままだった。