それが嫌というほど気づかされたのは、ある日の放課後。

日直の仕事をふたりでやっていたときだった。



「あのさ」


日誌を書いていたあたしに、アイツは突然話しかける。


「どうしたの?」

「お前、好きなヤツとか、いる?」


まさかアイツがこんな唐突な質問をするとは思わなくて。

動揺して、日誌に書いていた「し」の字が、勢い余って英語の「U」の字になってしまった。


「な、なにを…!」


いきなり聞くんだろうコイツは!

すきなひとって……!


「はーん?その反応、いるんだちゃんと」

「べ、別にそんなわけじゃ。い、いないよたぶん」


しどろもどろ。

どんなに否定しても、こんなに慌てた態度じゃウソだってわかる。


案の定、アイツはあたしをニヤニヤとしながら見ている。


悔しいと思いつつ、顔を赤らめて目をそらすことしかできなかった。