全速力で走り続けているせいで、わき腹が痛い。

息が苦しい。

でも、それ以上に胸が痛くて苦しかった。

あたしはなんてことをしてしまったんだろう。

そんな後悔ばかりが募っていく。

おかしいと思う点はあった。

アンナ先輩たちにバカにされたあの日、クレープ屋さんでセイラは普段頼まないバナナのクレープを注文していた。

セイラは昔からバナナが苦手だったのに。

髪を一つに束ねているのも、リカの人格の特徴だった。

自分のことを普段『私』というセイラが『あたし』と口にすることもあった。

おかしいと思って話を聞いてあげられていたら、何かが変わったの……?

頭痛がひどいとか、夜悪い夢を見るって言っていたのもリカが原因なのかもしれない。


あたしに何ができたんだろう。

今となっては分からない。

「お願い……。もう一度……セイラに会わせて……」

セイラがリカの人格になる前、何かを言いかけていたのが気になる。

あたし、まだセイラに謝っていない。

お願い、間に合って――。リカにセイラを奪わせたりしない――。