私がそう思考を巡らせているうちに、またぱっと表情が変わる。
私の嫌いな営業スマイルが一瞬にして消え去り、無表情の王子様の登場だ。
それは、ついさっき私のことを大和と呼んだ時のよう。
「もうバレたわけだし、営業スマイルいらないよね」
いつもの王子様である結城くんからは想像もつかない、素っ気ない声。
まず営業スマイルをしてる自覚があるってこと。
それと、こっちが本当の結城くんだと言う事がわかった。
このことが結城くんのファンである学校の女子達にバレたら、どんな反応が返ってくるだろう。
あまりの違いさに、幻滅する?
それとも、またこれはこれでかっこいいとファンが増える?
素性を明かしてしまったのは自業自得。
壁にぶつかったことも無さそうな結城くんを少し困らせてやろうと、素性をバラそうかと考えたが、どう考えても結果は後者。
どっちにしろ、結城くんが得するだけ。
「はぁ……」
大きなため息を1つつき、「お邪魔しました」とさっさと立ち去ろうとしたその時だった。



