どのくらいの時間だろう、時が止まってしまったかのように、見とれていた私。
それなのに……どうしてわからなかったのだろうか。
知っていたら、すぐにでも立ち去っていただろうに。
「……なんだよ、大和。いるなら声掛けろ……って、あ?」
人の気配を感じ取ったのか、手で作っていた枠を壊し、勢いよく起き上がったその人。
首を回して、私と目が合うと同時に固まった。
「……結城、れ……お?」
嫌というほど見ていた彼の顔をなぜ、分からなかったのか…
私が綺麗だと見とれていたその人は、私の嫌いな王子様であり、クラスメイトである結城玲央だった。
「いつからお前……」
結城くんが間違えて呼んだ大和というのは、同じくクラスメイトであり、結城くんといつも一緒にいる藤堂 大和(とうどう やまと)くん。
人違いだったことに驚いているのか、今まで見たことのない表情をしている。
何の得もないけど、これは激レアかもしれない。
それから、はっと正気に戻ったのかいつもの結城くんに戻る。
「どうしたの、須藤さん」
私の大嫌いな営業スマイル。
見ているだけで気持ちが悪い。
薄々感じていたけれど、結城くんって、二重人格ってこと?



