「あれ……なんだ、本当に俺?」
私の態度のどこから確信を得たのかはわからない。
でも、宮地は驚きながらもたしかにそう感じ取ってしまったようだった。
見つめてくる瞳に、いたたまれなくなり、逃げ出したくなる。
同時に、もう逃げられないという思いが浮かび……ゆっくりとうつむき唇をかみしめた。
誤魔化そうと思い途中まで開いた口を、なにも言えずにきつく結ぶ。
いいわけが、なにも思いつかなかった。
もう、ダメだ。今までの友達関係を、私が壊してしまう……。
フラれることへの怖さよりも、宮地への申し訳なさみたいな感情が勝り、自己嫌悪ばかりが頭に浮かんでいた。
人も車も通らない、静かな裏道沿いの公園。
しばらく沈黙が落ちたあと、宮地が明るい声で「なんだ。じゃあ、付き合うか」と言った。
たしかに、言った。『付き合うか』って。
信じられない思いで顔を上げると、宮地はへらっと笑いこちらを見ていた。
今までの重たい雰囲気はもうそこにはなかった。
「……は?」
「俺も唐沢のこと好きだし。だったら、付き合うのが自然だろ」
当たり前みたいに言われ、眉を寄せる。
付き合うって……だって……。
宮地の言葉が頭の中で何度も繰り返される。
〝好き〟とか〝付き合うか〟とかが、交互に再生される。
それは紛れもなく私が待っていた言葉だったし、夢にまで見た結末なのに……なにかが違っていて、絶望みたいな思いが胸から込み上げてくるのがわかった。
……違う。
私が欲しかったのは、もっと――。



