「ありがと。言い方はアレだけど、涼太はいい男になったね」

今のは慰めてくれたんだろうっていうのがわかったから言うと、涼太は気に入らなそうに顔を歪め「年上ぶるな」とこぼし……そのまま私を抱き寄せた。

ふわっと腕に包まれて、優しく抱き締められる。

さっきのキスといい、涼太は口は悪いのに私にとても優しく触れるから、この腕に甘えたいと思ってしまう。
ホッとしてしまう。

私をすっぽりと抱き締められる身体はしっかりとしていて、いつの間にか私の知っている涼太ではなくなっていて……ちゃんと男なんだなと再認識する。

力強い身体は私が寄りかかってもビクともしなそうで、でも、ちゃんと涼太のもので。
あの涼太に慰められて抱き締められてるのかって思うと不思議だったけど……嬉しかった。

は……と息をついた途端に、さっき収まったはずの涙が溢れだす。

肩を震わせると、抱き締める涼太の腕にわずかに力がこもった。

「おまえ、背、縮んだ?」
「……涼太が大きくなったんでしょ」
「身体こんな薄いとか可哀想になるな」

抱き締められたまま、涙を流したまま、ポツポツとケンカみたいな会話を交わす。

涼太の声にはいつもの刺々しさがなくて、それどころか柔らかくて、気持ちが次第に落ち着いていくのが自分でわかった。

こんなに落ち着く声をしていたんだと、改めて気づく。

低くて響きのいい涼太の声が……すごく好きだなぁとぼんやり思った。