Honey ―イジワル男子の甘い求愛―



「……いいや。そんなに大事なら、せいぜい、唐沢に愛想尽かされないように気をつけろよ。
まぁ、そうなったらなったで、俺が引き受けてやってもいいけど」

「そうなるまで待ってるのは勝手ですけど、時間の無駄ですよ」

真顔で即答した涼太に、宮地は「俺、案外、気は長い方だから」とからかうような笑顔を向けたあと「じゃあな。お疲れ」と片手を軽く上げ、歩き出す。

その後ろ姿を眺めていると、隣に並んだ涼太が「ちっ」と大きな舌打ちをした。

「おまえ、本当にあいつのこときちんと振ったのかよ」

ギン、と厳しい眼差しを向けられ「ちゃんと断ったよ」と口を尖らせると、涼太は軽くため息をもらした。

「だとしても、全然諦めてないんじゃねーの。〝俺が引き受けてやってもいい〟とか、ふざけたこと――」
「だとしても関係ないよ」

遮って言うと、涼太はわからなそうに眉を寄せるから、ふっと笑みをこぼしながら告げる。

「だって、私は涼太を選んだんだから」

さっきまで昼の名残を残していた空は、もう暗くなっていた。

建物の間から見える空には、星がチカチカと光っていた。
私の言葉に驚いた表情を浮かべたままの涼太に笑いかける。

「私が宮地を好きだったことを涼太は知ってるから、すぐには信じてもらえないかもしれないけど……情とか、そういう気持ちで涼太を選んだわけじゃないよ。
ちゃんと……こういう意味で好きだから」

一歩近づき、涼太の腕を軽く掴んで背伸びをする。
柔らかく重なった唇を離すと、ポカンとして目を開けたままの涼太がそこにいて、ふっと笑みがこぼれた。