Honey ―イジワル男子の甘い求愛―



「俺の告白受けてくれたらよかったのにっていうのも本音だし、唐沢が俺以外の男と付き合うとか、正直、あんまりいい気はしないけど。
向井弟なら、仕方ないっていうか……納得できる。あいつが唐沢のことどれだけ想ってるか、わかるから。だってあいつ、唐沢にベタ惚れだって態度でバレバレだし」

涼太は口は悪いけど、態度は素直だ。

それを知っているから、思わず笑ってしまうと、宮地はそんな私をじっと見つめて……それから、「あーあ」と笑みを浮かべたままため息を落とした。

「俺がもっと早く気持ちに気付いてれば、今頃この道を手でも繋いで歩けてたのにな」

冗談なんだか本気なんだかわからないトーンで言う宮地に、返事の仕方に迷っていると。

「――知花」

突然、名前を呼ばれて驚く。

顔を上げると、薄暗い裏道をこちらに向かって歩いてくる涼太の姿があった。

コンクリートをコツコツと歩く涼太の顔は、一見、珍しくにこやかだけど……あれが作り物だということを私は知っているだけに、穏やかな気持ちではいられない。

「あれ。〝ただの同期〟の宮地さんじゃないですか」

予想通り、挑発するような発言をした涼太に、宮地も同じような笑みを浮かべた。

「おー。相変わらずだな、向井弟」
「おかげさまで」
「で、待ち伏せしてたら唐沢が男となんか歩いてるもんだから、〝俺のもんに近づくな〟って咬みつくために乱入してきたってわけか。なんだ、中身はガキのまま……おっと、失礼」

「別にいいですよ。なに言われたところで負け犬の遠吠え……あー、すみません」

笑顔で言い合うふたりの間でハラハラしていると、そのうちに宮地が呆れたような、自嘲したような笑みをこぼした。