Honey ―イジワル男子の甘い求愛―



告白を断ってから、数日は気まずさを感じたりもしたけれど、今はもうだいぶ今まで通りに接することができるようになった。

それはきっと、宮地も気を遣ってわざと雰囲気を前のようにしてくれているからだろう。

案外、気配りの細かい宮地だから、私が変に気を遣わないようにって、そこも考えてくれているのかもしれない。

とはいえ、もちろん、全部が今までどおりというわけにもいかないし、距離感は今までよりも離れているように感じるけれど……それは仕方ない。

宮地が許してくれなければ〝ただの同期〟の距離感だって保てなくてもおかしくないんだから、こうして話しかけてきてくれることはとても恵まれていると思う。

全部、宮地の人柄のおかげだ。

「ところで、向井弟とは仲良くやってんの?」

あれから、涼太の話題が出たことはなかっただけに、驚いて「えっ」と声を出すと、宮地はそんな私を見て、困ったような笑顔を浮かべた。

「そんな驚くか?」
「だって……なんとなく、タブーっていうか、そういう空気だと思ってたから……」

宮地にずっと片想いしていたのは私だけど、結果的に振ったのも私だから。
その宮地の前で涼太の話題は、さすがに……と思い、あれ以降、涼太の話題を出したことはなかった。

戸惑い、髪を耳にかけていると、宮地がふっと微笑む。

「まぁ、たしかにあんまり惚気られるとキツいけど。振られてから色々考えたら、やっぱり唐沢のことは大事だし、だとしたら唐沢が幸せならそれでいいのかなって気もしてさ。
それに、向井弟は唐沢を裏切ったりだとかそういうことはしなそうだし」

明かりの少ない裏道。建物が影をつくり、大通りよりも薄暗く感じるなか、宮地の横顔を見つめた。