「だから、負け惜しみとかじゃなくて、本当に唐沢が出す答えは最初から気付いてたんだ。
それでも……俺にとっては初めての感情だったから、最後まで悪あがきしたかった」

それから宮地は私を見て、呆れたような笑みをこぼした。

「向井弟が俺に向ける目、唐沢はちゃんと見たことないだろうけど……あれ、相当だから。揺るがないっていうか、ああ、敵わないなって自然と思えてくるくらいに、強いモンがこもってる。
俺が焦りだしたのは、唐沢が好きなヤツがどうのとかフラれたっていうのを聞いてだけど、向井弟の存在も理由のひとつだったと思う」

月灯りが、淡く白く照らす夜の公園。

宮地は最後に「まさか本気の恋がどういうものかを年下に教えられるとは思わなかった」と笑った。