「いいよ、俺にそんな気遣ってくれなくても。そんな苦しそうな顔されると申し訳なくなる」
自嘲するような微笑みに、小さく首を横に振る。
「でも、宮地が真剣に告白してくれたのは知ってるから。私の答えが宮地を傷つけるんだから……平気な顔なんてしてられない」
最後に、もう一度「ごめん」と付け足すと、宮地は私と同じようにふるふると首を振った。
宮地が浮かべているのはいつも通りの微笑みだけど、どこか寂しそうに、傷ついて見えて胸が痛む。
「……うん。ありがと。いや、まぁ、唐沢は真面目で優しいから、そうだよな。逆に俺の方がごめん。きっとすげー困らせた。こうなるだろうってわかってたのに」
「こうなるだろうって……なんで？」
フラれることがわかっていたという宮地に、思わず聞き返してしまう。
だって、私だって涼太への気持ちに気付いたのなんてつい最近なのに……。
驚いている私を見て、宮地が笑う。
「唐沢は気付いてなかったかもしれないけど。向井弟のことを話すとき、唐沢はいつも嬉しそうだったから」
「え……」
「唐沢の口から向井弟の話が初めて出たときから、ずっとそうだった。嬉しそうで……なんていうか、柔らかい顔してるから、あれ？って気になってた。
……ああ、それくらいの頃からだ。唐沢にたいして独占欲みたいなの感じ始めたの。だって唐沢、俺のこと話すときはそんな顔しないし」
口元には笑みを浮かべたまま、わずかに眉を寄せた宮地が続ける。
