『ずっと好きだった』

涼太がどれだけの覚悟で、どれだけの気持ちこめて告げた言葉かを、知っているから。

Yシャツ姿の背中を眺めると、出っ張った肩甲骨に目が行く。
いつの間にか大人の男の背中をしていることに今さら気付いて、なんだか急に恥ずかしくなってくる。

だって涼太が私を好きとか……恥ずかしい。

そう考えた途端、遊園地でのキスを思い出してしまい、余計にドキドキしてきてしまう。

じわじわと頬が熱くなってくるのを感じ、思わず涼太の手を振り払ってしまったのだけど……驚いたような、ショックを受けたような顔で振り返った涼太を見て、ハッとした。

気付けばもう、裏道を半分ほど進んだ場所で……公園が後ろに見えた。

「……なに。嫌なら口で言えよ」

不貞腐れたような顔で言われ、慌てて口を開く。

「違うよ。ただ、その……ドキドキしちゃうし」
「は?」
「いや、だから……」

しどろもどろになりながら説明するのに、涼太がわけがわからなそうな顔をして「おまえ、大丈夫か?」なんて言いながら顔を覗きこむから、余計にパニックになる。

涼太相手になんでこんなにもドキドキするんだろうと思いながらも、なにか言わなきゃと言葉を探した。

裏道はとても静かで、ふたりきりの空間に緊張が増す。