Honey ―イジワル男子の甘い求愛―



私は、涼太と釣り合う外見ではなく、至って普通だ。
顔立ちもスタイルも。

菜穂は、どういうわけか私を可愛い可愛いと盲目的に褒めて撫でまわしてくるけれど、他の人に顔立ちを褒められたことはほとんどない。

目がパッチリした二重で大きめなのと、ボブカットのせいか、活発そうとはたまに言われるけれど。

なにげなく隣を見上げると、いつの間にか〝大人〟の横顔になっている涼太が映る。

サラサラした黒髪は、斜め上にあるつむじから横に流れ落ちている。

右目のライン上に前髪の分け目があるのは菜穂も一緒で姉弟だなぁと思う。
昔は顔のパーツも似ていたけど、涼太が高校を卒業する頃から美形で整った顔立ちに〝男らしさ〟が加わった。

愛らしい二重の瞳も、ツンとした鼻も薄く形のいい唇も今も健在だけど、昔のような幼さはだいぶ抜けた。

中学の頃は、美少年だか美少女だかわからないほどに愛くるしかったのになぁと思いながら眺めていると、それに気付いた涼太に、睨むような視線を向けられた。

「なに見てんだよ、チビ」

……チビって。
たしかに涼太よりは小さいけれど……とやれやれと口を開く。

「涼太はさ、本当に見た目と口の悪さが反比例してるよね。昔からだから私はもう気にならないけど、免疫ない子だったら驚いて黙っちゃうよ」

せっかくの美少年顔が台無しだ、とため息をついていると「誰にでもこんな態度とらねーよ」と返ってくるから、眉を潜めた。