「…琴音」 離れていく。俺の目の前から。 「…なぁ、琴音。起きろよ」 繋いでいたはずの手が。 琴音が、遠くなる…。 「ッ琴音!!!」 「ッボフ…ッカハ……」 「ッ!?」 一瞬動けなくなる。 琴音が血を吐いた。……………息を、吹き返した。 「ッ気道確保!レントゲン撮ったらすぐに執刀する!」 「っはい!!」 再び一斉に動き出した医者と看護師。何人かが琴音を取り囲み、戻った息を、心臓を守るように最低限の処置を済ませていく。