季龍side

「…」

「…」

重苦しい沈黙が広間を埋める。

琴音と奏多の無事が分からなくなって既に2日。

あの交渉を最後に途絶えた連絡に、成す術を失っていた。

あの後、すぐに逆探知で割り出した場所に向かったが、既にそこはもぬけの殻。唯一、そこに捕らわれていた者がいたという証拠は引きちぎられたような縄が2つ転がっていただけだった。

そして、俺たちの希望だと分かりながらもその場に大きな抗戦の跡や血痕がなかったことに安堵した。

まだ、2人が無事でいる可能性はある。…だが、それはその場にいた間だけのこと。

足取りの1つ追えないこの状況に日に日に、いや時間が経つごとに苛立ちと焦燥感が募るばかりだった。

「…」

普段要らねぇことばかり喋る信洋でさえ、休む間もなくパソコンを睨み続けている。

平沢のタバコの切れがいつもよりずっと早い。

怪我を負った暁も休むことを拒んで外に出ることが多い。

全員、焦っている。

2人の無事は時間が経つごとに保証されなくなる。それを誰もがわかっていて、それでも口に出さないのは不安をこれ以上掻き立てないためだった。