私はその中の見出しの1つを見た瞬間、息が止まった。



そして、記憶の中に断片的な映像が浮かび上がってきた。



誰かの葬式。



黒服の人々。



その祭壇。



二つの遺影。



父さんじゃない。



一つは…



タケルのじっちゃん。



そして、もう一つは…











タケル…





全てを思い出した。


私はタケルとじっちゃんの葬式に参列した。

そして、二つの遺影を見た瞬間に意識を失った。


気がついた時は何事もなかったように自分の部屋で寝ていた…

既に、壊れそうな自分を守るために、その記憶を閉ざしていた…



そう。

よく覚えていなかったんじゃない。

それは「記憶の封印」だった。





見出しにはこう書かれてあった。

『小5 山で転落死 森川村』

記事には、『死亡したのは美平小5年 大和武尊君』そして、その事実を知った祖父が、心臓麻痺で同日死亡したと書かれていた。


じっちゃんとの記憶もその頃から無いのは当たり前だった。



やっぱり、私が、二人を、死なせたんだ…



完全にその事実を意識した瞬間、強烈な衝撃が身体を震えさせた。


震える手がファイルを落とした。


でも、震えが止まらない。

「う、うわ…うわ…うわー!!」

声にもならない叫びが身体の底から出続けた。

床に突っ伏したが、震えと叫びは止まらなかった。

涙で何も見えなかった。


壊れる…

心が壊れるよ!!


その時、誰かが私を後ろから抱きしめた。