バスを降りて、会社の方へ歩いて行くと、あの公園が見えてきた。


夢だったとわかってはいるが、歩みが遅くなる。


公園の入り口に視線が釘付けになりながら、ゆっくりと歩く。

まだ中は見えない。


入り口から公園の中が見えかけた…

その瞬間!



赤いボールが目の前を跳ねて行った。

「正夢!?」


私は走って、ボールを背に、公園から飛び出してくるであろう女の子を止めようとした。




しかし、誰も走って来なかった。

目の前には、ただ公園があるだけだった…


後ろを振り返ったが、赤いボールもどこにもなかった。



「幻覚…?」



もう一度、公園の方に向き直り、ゆっくりと中へ入ってみた。

公園内を見渡してみたが、女の子どころか、誰もいなかった。



やっぱり気のせいか…


あんな夢を見たせいだ…



私はまた、会社へと歩き始めた。