バスを待つ間、通り過ぎる車や人々を見ていた。


いつもと変わらない風景。

自分が何かの歯車の一部になっている気がした。

自由に何でもできるはずなのに、自由にならない日常。

日常を「日常」ととらえ、それを変えられない自分。

何かの変化が欲しい。

いつもそう思いながら、また、日常に身を置く。



隣に並ぶ女性がちらっとこちらを見た。


私が彼女を見つめ返すと、その女性はちょっと戸惑ったような顔で、ほんのちょっと距離を取った。


その時、ちょうどバスが来た。


車内は、座席は埋まっていて、立つ場所も適度に満員だった。

吊り輪を持って揺られていると、ふと下から視線を感じた。

すぐそばにお母さんと座っている女の子が私を見ていた。

「おねえちゃん、ぐあいがわるいの?」

女の子がそう言うと、母親が何言ってるのという感じで制した。

「だっておねえちゃん、ぐあいわるそうだよ」

母親が私をちらっと見た。

「変なこと言わないの」

「だって…」

私は女の子に笑いかけた。

女の子は黙って私を見ていた。


そっか、さっきの女性も私の顔色が悪いから見ていたのか。

どうしたんだろう。


思ったよりも体調が悪いのかもしれない。


でも、会社に行く時はいつものことだ。