「せんせ、暑い」
「ん」
先生が少し隙間を作ってくれた。
風が私たちの間のできた隙間を通る。
途端になんだか寂しくなって出来た隙間を埋めるように先生の胸に顔をうずめる。
先生の手が優しく頭を撫でた。
「俺さ、みずきから告白してくるとは思ってなかった」
「なんで?」
「だって、ツン要素が高かったから。ってのもあるけど、それより俺から告ろうと思ってたから」
まだ私のことツンデレっていうんですね。
まあ、あながち間違いではないのだが。
先生が告ろうとしてくれていたことは、素直に嬉しくて心がほくほくする。
「夏のせいです」
つい先生に告白してしまったことも。
ふらりと日の下にでたことも。
先生への告白を忘れたふりをしたことも。
ぎゅうと先生にきつく抱きつくと、微かに爽やかな潮の香を感じた気がした。
ぜんぶ、夏のせい。
だけど、先生のことを好きになったのは。
「やっぱ先生のせい」
先生は愛しむように私の頬を両手で包んで、熱くなった私の唇を優しく奪った。
唇に、夏のにおいがした。
おわり



