【短】ぜんぶ、夏のせい





ベッドに置いている私の手をちらりと見て、先生の小指が私の小指に触れた。




「日光アレルギーを甘く見ちゃダメだっていつも言ってるだろ」


「…はい」


「外に出る時は必ず帽子かぶれっていつも言ってるだろ」


「はい」


「俺、おまえのことすごく心配した」


「………ごめんなさい」




それは、患者として?


それとも、自分のことが好きな女の子として?



どっちにしろ、早く言いたいこと言ってくれたらいいのに。



ちらりと彼を見ると、目が合ってしまった。


それだけで、隠しきれないくらい胸が高鳴る。


それに気づいてないのか、彼は私にいま1番触れてほしくない爆弾を落としてきた。





「………おまえの姉ちゃんと俺、お似合いだった?」


「…っ」




思わず、布団の中に潜って耳をふさいだ。


だけど。




「最後まで話を聞けっていつも言ってるよな」





逃がしてくれないようで、彼は布団を剥ぐって、耳を塞ぐ私の両手を掴んだ。