ってそんなことはどうでもいいのだ。
「で? だって、何?」
「先生のばか」
「はいはい」
だって、の続きを促してくれる彼の髪を夏の夜風が揺らした。
私の言葉を待ってくれていることが無性にうれしく思いながら受けとった。
「だって、いじめるから。私ばっかり好きで辛いのわかってるくせに」
「はあ、煽り上手ってやだやだ」
「ずうっと煽ってきていたのはどっちですか」
「じゃあ言うけど」
彼の瞳がすっと細くなり、ゆるやかに弧を描いた。
「まだ告白に対して答えている途中なのに顔真っ赤にして逃げ出して、俺のことだけを考えて自殺行為だったわかっているはずなのに日光の下で黄昏て本当に倒れてしまう馬鹿のことなんて、愛しくてたまらないに決まってるだろ」
言われていることがよくわからなかった。
「えっと?」
「まだ寝ぼけてんのかよ」



