「–––––残念だったね」




目が醒めると、端正だと完全には言えないけれども端正だと言いたくなるような顔がわたしを覗いていた。


その人は、夏の強い朝日で眩しくて、神々しくなってしまっている。




「……はい?」


「残念、だったね」


「……」



意味がわからない。

ほんと、意味がわからない。


体を起こして、彼をまっすぐに睨むようにして見つめる。

そうでもしなきゃ、彼の目力に負けそうだった。




「何のことですか」


「わかってるだろ?」


「……わかりません」




なにが起きているのかわからなかった。

これが誰なのかも、わからなかった。


本当にわからなさそうにする私に、彼はくすりと笑った。




「本当にわからない?」


「わかりません」


「ふーん? じゃあ俺のことは?」


「わかりません」




笑っていた口元が、少しだけ歪んだ。


悲しそうに。