私の手を取って、先を歩く松永が
いつもより少し強引な松永が
やけにむかつく、腹が立つ。

「ねぇ、放して」

強く握りしめた私の手を
少し緩めて、そのまま手放すのかと思ったら
松永はまた強く握り直した。

「ちょっと来て」

私には今、松永の背中しか見えていなくて
その顔が見えていないから
松永が何を思っているのか
どんな顔をして連れ出しているのか
想像もできない。

でも、このまま言いなりになっていたら
いけない気がする。

松永は怒ってる。怒ってるけど、
怯えてて、震えてて、すごく困ってて、
だけど、松永の今のこの決意に、迷いはない。

だから私は、そんな松永に、
負けてはいけないのだ。

いつもみたいに、
甘えては、いけないのだ。

私がその手を、強く振り払ったら
ようやく放してくれた。
松永が振り返る。

「どこへ行くの?」

「ちょっとだけ、俺の話しを聞いて」

松永が言った。

だから私も、今だけは
真剣に、真面目に
松永と向き合おう。
松永のその決意が
たとえどんなものであろうとも。

「なに?」

「俺と、つき合って」

松永は言った。