秋の、もうこれくらいの時期には
日が落ちるのは早くて、
学校からの帰り道でも
途中から道が暗くなる。

私は、なぜか松永と大希くんに挟まれて
夕暮れの道を歩いている。
松永がひたすらしゃべってて
私とこの人が、適当に相づちをうつ。

「でさ、古文の高橋が……」

松永の話は、特に意味はないから
真面目に聞かなくても大丈夫なところが
とてもよい。

「あー、なんか
 あったかいもの、飲みたくなっちゃった」

私が行ったら、大希くんが返事を返す。

「コンビニ、寄ってく?」

「うん」

その返しに、即答する。
コンビニに入った私は、
真っ先にアイスのケースに飛びついた。

「あ! この新作アイス、
 まだ食べてない!」

「ねぇ、さっき、あったかいものが飲みたいって、
 言ってなかった?」

この人に呆れられても、今はアイスの方が大事

「やっぱりアイスにしよーっと
ほら、おいしそうでしょ」

私が見せたアイスに、この人も笑った。

「ホントだ、うまそう」

アイスケースをのぞき込んで
物色中の私とこの人に
ホットなミルクティーを抱えた松永が
絶妙な加減でうろたえる。

「え、なんでアイス?」

結局、私とこの人はアイス、
松永はあったかい紅茶を買って、
外に出た。

限定味の、二種類のアイス、
私とこの人で一つずつ

「はい、先にあげる」

この人が差し出すアイスに
私は遠慮なくかぶりつく。

「うん、おいしい」

私は一口、自分のを先にかじってから
この人に差し出す。

「はい、どうぞ」

「おいしい?」

「うん、おいしいよ」

私の手から、直接この人がアイスを食べる。
とてもよい。

「俺も、一口ほしい」

松永が言うから、松永にも一口あげる。

「ねぇ、やっぱ紅茶もほしい」

私の手から、アイスを奪った松永は
あったかいお茶を目の前に差し出した。

そのペットボトルの蓋を開けて
最初の一口を飲む。

「ねぇ、全部食べないでよ!」

「食わねぇよ、そんなことより
 俺の紅茶、全部飲むなよ」

松永に食べられそうなアイスを
紅茶と引き替えに取り戻す。

「あ、松永も、こっちの味、食べる?」

「いや、お前のはいい」

なんだかふくれっ面で、前を向いている松永、
なんだよ、この人のせっかくの好意を無駄にするとは、
アイス好きの、風下にすらおけない奴だ。

「じゃ、私が食べるー」

「お前はもう食っただろ!
 俺の分が減る!」

くそ、松永に食べられた私のアイスを
この人のアイスで補えなかった分、
私の食べるアイスの総量が減った!

「あー、ヘタにアイス食ったら
 よけいに腹が減ったなぁ。
 そうだ!
 3人で、ラーメン食べに行こうぜ!」

「あのさぁ、川本くんの勢いで
 ラーメンとか食べてたら
 私絶対太るんだけど」

「なんだよ、じゃあ松永、
 2人で行かない?」

「え?」

松永は、私とこの人の顔を見比べる。

「横山さんは、このあと、どうするの?」

「帰る」

「じゃ、俺もかえ……」

「そんな冷たいこと、言うなって!」

「ちょ、俺は、横山さんを駅まで送ってい……」

あの人に引きずられて、松永は消えていった。

「いってらっしゃ~い」

この人と松永の、仲が深まるのは、
とてもよい。

そんな、帰り道。