私は生まれ変わる。
いや、もう生まれ変わった。

そう、やるときは、やれる女なのだ!

「愛美! きらら! おはよう!」

今日も、酒井地蔵前に集結している仲間に挨拶、
そして完璧なまでの人畜無害な
コミュ力あふれる世間話の大展開!

そこに紗里奈も加わって
なんて楽しい、高校生活!

そして、松永と一樹も加わった。
そう、こうやって私たちが、
無邪気に、楽しそうにしていれば
あの人も必ずやってくる。

「おいーす」

ふん、ほらね、計算通り。

教室に入ってすぐ、鞄を置いて
酒井地蔵前に、大希くんがやってきた。

私って、天才。

「川本くん、昨日駅前のコンビニで
エッチな雑誌、立ち読みしてたでしょ」

「は!? そんなのしてねーし!」

ふふ、顔をまっ赤にして困ってる。
そんなの、本気で言ってるわけがないじゃないか
見てもないウソだし、
コンビニに、普通にいたのは見てたけど。

「ちょっと雑誌の前を通っただけだって!」

他のみんなも、この話題で盛り上がる。
下ネタは、手っ取り早く盛り上がれるから
実に簡単で使い勝手がよろしい。

「愛美に、変な気、おこさないでよ!」

「いいじゃない、彼女なんだから、
 ねぇ?」

きららのナイスサポート!
そして、すぐにこの話題から離れて
2人をギクシャクさせない。
下ネタの乱発は、女の株をさげるし、
言われる方も、困るもんだからね。

「そう言えば、ネット動画で紹介されてた、
 新発売のジュースをさぁ
今度の売店にも加えたらどうかなぁって、思ったんだけど」

しっかり学園祭の話しにもっていって
2人の会話を促す。

「あぁ、いいんじゃない、ねぇ?」

「うん、そうだな」

愛美が、この人に声をかけた。
この人も、自然にふんわり、愛美に答える。

「実行委員から、みんなに提案してみてよ。
 てゆーか、美味しいから
 今日の帰りにでも、一緒に飲んでみて!」

ふふん、2人が、顔を見合わせてる。
きっとこの後、帰りにコンビニに寄る約束をするに違いない。

チャイムが鳴った。

私は、相談を始めた2人に背を向けて
颯爽と自分の席につく。

よし、今日の放課後は、あの2人を尾行して、
ちゃんと一緒にコンビニにいくのかを、見届けよう。
紗里奈かきららを誘って、
2人の背後から、ひやかして遊ぼう。

そしたらきっと、
愛美は恥ずかしがって照れたりするけど
あの人は、あの人はきっと……

ふざけるのをやめない私に向かって、怒ってきたりするんじゃなくて
やっぱり、愛美をかばったりするのかな。

私たちを追い払ったあとは、
愛美と2人で、あんなの気にするなよとか言って
なぐさめたり、するのかな。

同じ教室にある、あの人の背中
授業中だけは、いくらでも見ていられるのに、
私は一体、何をやってんだろ。

仲を取り戻してほしい気持ちと、
そうじゃない気持ち

…………。
やっぱり、ひとりで先に帰ろうかな。