ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「なぁ、栞」


秋が深まってきた十月の下旬。
駅から家に向かう途中で突然口を開いた大河は、ふと立ち止まった。


「俺、選択誤ったのかな」

「選択って?」

「無理してでも、桜花に行けばよかったのかな……」


それを聞いて胸が痛まないわけがない。

あれだけ選手をそろえている桜花ですら、甲子園の切符は簡単には手に入らない。

でも、ごく普通の公立高校でも甲子園に行けることもある。
だから、絶対無理とは言えない。

けれど、今の旭日には無理だ。
皆の気持ちがバラバラではどうにもならない。


「それは私にもわからない。でも……大河は大河のやるべきことをやるしかないと思う」


随分大きなことを言ってしまった。

あの練習の苦しさは私にはわからない。
でももう時は戻せないし、このまま突き進む以外に選択肢はない。


「そうだよな」


彼は小さくうなずいて再び足を進め出した。