ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「ごめん」


試合に出ることすら叶わず、イライラしている彼をこれ以上怒らせるべきではなかった。

それからすぐにホームに走り込んできた電車に乗り込んだけれど、大河は離れていってしまった。


それだけじゃない。
いつもは降りた駅で待っていてくれるのに、彼はスタスタと歩いていってしまう。

結局一度も振り返ることなく、彼は家に入ってしまった。
こんなこと、初めてだった。


たった一度、待っていてもらえなかっただけで、つらくてたまらない。

それに、真田くんと『楽しそうだった』と言われたとき、ものすごく焦った。

私が好きなのは、大河、なのに。
大河だけ、なのに……。

彼に嫌われたら、どうしていいかわからない。


その日は、彼がそれから出てくることはなかった。

いつもの自主練もせず、部屋のカーテンが開くこともない。

今日は真田くんに私から近づいたわけではない。
でも、もっと大河に気を遣うべきだったと反省しながら、苦しい夜を過ごした。