ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「旭日、残念だったね」


秋季大会のことを言っているんだろう。


「はい。桜花は頑張ってください」

「ありがと。まだあんまり投げてないんだけど」


桜花は危なげなく勝ち進んでいて、真田くんも数回抑えで投げただけらしい。


「波多野さんがうちのマネージャーだったらよかったのに」

「そんな、そんな。桜花のマネージャーさんのほうがずっと優秀です」


私なんて……いちいち試合の結果に動揺してしまい、選手を励ますことすらできない。


「そんなことないさ。波多野さん、どっちの電車に乗るの?」


駅が見えてくると彼にそう聞かれた。


「山に向かいます」

「あはは。それじゃ、逆だ。また会えるといいな」


真田くんは、初めて会ったときとは随分印象が違った。

やはりプレッシャーが彼の表情をこわばらせていたのだろう。


「そうですね。それでは、失礼します」


改札を抜けたところで頭を下げると、彼はにっこり笑ってくれた。