ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「波多野まで笑うなよー。大丈夫。本当の妻の座は奪わないから。私、二番目でいいの」

「お前、なに言ってんだ」


大河が焦った様子で柔軟している本山くんの頭をバチンと叩いている。


『本当の妻』って……。

本山くんは私と大河が幼なじみなことも、仲がいいことも知っている。
だからからかったんだろうけど、私たちはそんな関係じゃない。


いくら私が好きでも、大河にその気はない。

学校での素っ気ない態度を見ていると、私にチョロチョロされると迷惑なんだと思う。


どれだけ好きでも、その気持ちを口にすることはできない。
口にした途端、彼の隣にはいられなくなってしまうだろう。

そんなことを考えると、胸がチクチク痛んだ。


「栞、こっち手伝って」

「はい。今行きます」


私は綾子先輩に呼ばれて、その場を離れた。