ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「イタタタタ。大河ちゃん、優しくしてよ?」

「なんでお前に」


練習最後の整理体操でストレッチをしていた大河と本山くんは、いつものようにじゃれ合っている。

長い時間一緒に練習しているふたりは、その絆がますます深まったように感じるが、野球への情熱はトーンダウンしているように見えた。


「なんでって、大切な奥様でしょ? ね、あなた」

「気持ち悪いわ!」


キャッチャーはよく女房役と言われるけれど、その通りかもしれない。

リードするのはキャッチャーでも注目されるのはピッチャーのほう。
キャッチャーは縁の下の力持ちといったところだ。


でもさすがに『ね、あなた』はおかしくて、噴き出してしまった。

本山くんは一年生の中ではムードメーカー。
まさに縁の下の力持ち的役割を果たしてくれている。