ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

とっさに言いかえしたものの、鼓動がドクドクと速まり、コントロールできなくなった。

だって、大河が好きだもの。
他の誰も目に入らないくらい。


「わかんないから、国語の宿題やっといて」

「やりません!」


少しだけいつもの調子が戻ってきた。

大河はそれからむくっと起き上がると右手のテーピングを見つめ、一瞬眉をひそめる。


「帰るか」


ここまで来てなにをしたというわけでもない。
でも彼は彼なりに気持ちの整理をしていたのだろう。


私が立ち上がると、彼はクククと笑いながら背中を叩いてくれる。


「栞、これ、怒られるぞ?」

「えっ、そんなに汚れてる?」


慌てて彼の背中を見てみると、見事なまでに砂埃がついていて、白いシャツが変色している。


「うん。女だとは思えない」

「もー。こうしたかったんだから、しょうがないでしょ?」