ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

だけど……今は女でよかったと思ってる。
それは大河のことを好きになったからだ。


「俺、情けないな」

「あー、そうね。朝、全然起きないとことか、ホント情けない」


もちろん彼が、初戦で敗退してしまったことを言っているのはわかっていた。

でも、それは大河にはどうにもできないことだったから、そんなふうに思う必要はない。


「あはは。眠いもんは仕方ないじゃん」

「それでも起きるの!」


毎日必死に野球と向き合い、もうクタクタなのだろう。
けれど、甲子園に行くという気力が彼を奮い立たせている。


「なんでこんなに眠いのに、野球なんてやってるんだろ」


次の彼の言葉に胸がチクンと痛む。


「そんなの、好きだからじゃないの?」

「あぁ、そうか」


とぼけた口調の彼だけど、まっすぐに空を見上げている目は、少しも笑っていない。


「それじゃあ、好きじゃなくなったら……」


大河はそこまで言うと、目を閉じてしまった。